着物の着付けに使っている自作の腰布団が薄すぎると感じるようになったのでボリュームアップさせました。
詰め物がへたれたのか、踊る姿勢が良くなったのか、はたまたお尻が育ったのか?

さもない繕いもの、それもつぎはぎですが、使い込む前の最大限きれいな姿を撮っておきました。紐にアイロンもかけたぞ
つぎはぎなのは、ペラペラ旅館タオル+買い物のおまけハンカチ+昭和30年代の子供浴衣のほどいたのを寄せ集めて作ったからです。SDGsへの取り組みの一環としてご解釈ください。
見ばえは置いといて、ハンカチをバイアス使いすることで紐の付け根に伸縮性を持たせたのがポイントです。
で、今回はそこへ端切れを重ねて微調整し、表面は使い古したハンドタオルで覆いました。このタオル、持ち歩くにはちょっとくたびれてきたけど全然汚れていないし、何よりワンポイントの朝顔狗子図がかわいくて。しかもよく見たら今治タオルでした。
※愛くるしいタオルは東京国立博物館のミュージアムショップにて。リンク先から通販もできます!
何度もお洗濯を重ねた丈夫なタオル地のおかげで、厚みが出て形もしっかりしました。薄い帯枕としても使えそうな頼もしい感触です。
どう使うかというと
腰布団(腰当て、腰パッド)というのは、腰に当てて背中のカーブやお尻との段差をなだらかに整えることで着物をきれいに着付けるための道具です。
特に、芸者さんの普段の着付けでは腰布団以外の体型補正はしておらず、しかも着物の上からくくり付けるんだそう。
補正の綿やパッドってふつうは長じゅばんの下に仕込みますよね。
もしかしてそうやって着た方が踊りやすいのかな?と真似したところ、なるほど体と着物が密着して着崩れにくいんです。
身につける順序だけの話なので素人がやっちゃダメってものではないはず
肝心の補正の効果としては、お太鼓がきれいに保てます。トンネルみたいに膨らんでこないし、たれが跳ね上がったりしわが寄ったりということもなくなります。今回厚みを足したのもこれらの効果が薄れてきたためでした。
長着の着付けは体に巻きつける手加減次第なところがある一方、お太鼓の形をきれいに保つにはどうも補正が重要みたいです。
枕受け(とんぼ、ひこうき)も併用しますが、特に作り帯だと背中に結び目の膨らみがないせいでお太鼓が筒状に開いてくるようです。そこに腰布団を入れると、帯の結び目の代わりに背中の空間を埋めてお太鼓の筒を背中側から押しつぶしててくれる感じ。
ふつうの補正よりも着物に汗が染みやすくなるのは難ですが……着物の下で補正するよりおなか回りがすっきり見える気がするんですよね。なので私は今のところ、どっちみち汗が付いてしまうお稽古着にだけ「着物の上から腰布団」をやっています。
その後、インスタや雑誌で元芸妓さんの着方もいろいろ見ましたが(ありがたい時代だ)、見た限りではやっぱりどなたも着物の上から腰布団を使っておいででした。
京都では「おいどまく」「おいど布団」なんて呼ぶらしく、長じゅばんの端切れのようなピンクや赤の絹地でくるんだものが多い印象です。
言うてうちらが着物着てくとこはパーティとかじゃないわけ
私の好きな着物本のひとつ『きもの365日』というエッセイの5月27日分にも腰布団が登場します。
取り出したる腰当てで著者群ようこさんの帯周りを直し、見た目マイナス3kg!?のスッキリ腹周りを実現してみせたのも浅草で芸者さんをしていた踊りの先生とのこと。
| きもの365日
群ようこ 集英社 2004年05月
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芸事のお稽古で(=おおむねカジュアルの範囲だけどある程度のTPOを守るべき場面が日常にあって)着る人の着物って、「着たいときに着たいように着る特別なおしゃれ着」ではなく「お下がりなども混じった手持ちのアイテムを活かしてやりくりせねばならない日常の衣服」の側面が濃くて、血の通ったリアルさが面白いなあと思います。
腰布団の表生地にしたって、たぶん手持ちの布をやりくりした結果がトーハクのハンドタオルだったり赤い絹地だったりするわけでしょ。
世の中のいろんな立場の人がそういう血の通ったリアルな面白いやりくりの結果をどんどんシェアしてくれますように。従隗。
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