本はモチーフとしても好きです。

(いきなりリペア後の姿)
こういう和綴じの本の柄は「読本(よみほん)柄」と呼ばれます。
季節を問わず使える便利な柄ですが、この帯は好文木の故事にちなんで梅の季節に手に取ることが多いです。
どっしりした生地感なので冬以外には暑苦しいって説もある
この名古屋帯は手に入れた時から擦り切れ気味の古着で、だましだまし締めていましたが、とうとうある冬、手先に織り込まれた金糸がほつれてびろんと飛び出てしまいました。
すぐにほどいて畳んで(布に戻すことで繊維を休ませる目的)、
それからまる2年放置してしまったようです。休ませすぎ。
いいかげんになんとかしないと初稽古に締める帯がないぞ!と、やっとやる気を出した結果が冒頭の画像です。
手を付けさえすればほんの2~3時間×2日でできることなのに、どうしてこう後回しにするんだろうか…
これ、お太鼓柄の名古屋帯の割には金糸入りで改まった感じがして、ふざけた柄ではなくて、でも明らかにフォーマルではない(ってかどう見ても古い)…ってところで、華やかめの小紋に合わせるのにちょうどいいんですよね。
部分的に違う色の緯糸を追加して、表面にポイント柄を織り出してあります。縫いとりって言うんでしょうか?唐織と違って柄部分はぺたんこです。
そのプラスアルファの色糸が擦り切れたわけです。土台の黒い布は無事。

刺繡糸で、擦り切れた部分をカバーするように刺してみました。
補強も兼ねてぎっちり縫いつぶします。
絹織物のリペアなら日本刺繍の釜糸を使うのがベストなんでしょうが、祖母の形見?のフランス刺繍糸を活用しました。
質の良い刺繍糸に使われる超長綿って、絹と比べても遜色ないツヤがあるんですよ。
あ、刺繍糸はオリムパスとDMCを推してます。祖母によって衣装ケースに放り込まれもちゃもちゃにもつれた糸の山(使っては継ぎ足し続けた30年モノ)の中でその2メーカーは表面の毛羽立ちが少なかったので、いい繊維を使っているんだろうなーと

からし色はよく似た色の糸があったので、1本どりで使用。元の緯糸とほぼ同じ細さです。
あまりにそっくりなので、いま自分が刺した糸がどれなのか見分けがつかず苦戦しました。
どこを縫ったでしょう? 2か所あります。
ほかはドンピシャな色がなく、近い色を2本合わせてごまかしました。
こちらはどこを縫ったかすぐわかりますね。

踊りではお扇子が抜き差ししやすいように帯の「わ」を上にして締めるので、これも「わ」を上にしてリペアのぼこぼこが目立たない向きで使うことにしました。
赤い本の天地が逆ですが、ぱっと見の配置はおさまりがいい気がします。
そもそもこの帯、胴とお太鼓とに(布に対して)全く同じ向きの同じ大きさの柄を織り出してあるので、胴の柄の出方はどっちみち成り行き次第。現代ものでは見かけないパターンです
仕立ては思い切って鋏を入れて、文化帯(お太鼓を毎回つくるタイプの二部式)に。
帯芯を入れる仕立てはひっくり返す作業に気を使いますが、文化帯なら長方形3つに分割できるので比較的楽です。
帯芯も少なくて済むし。(お太鼓の中で結んだり折りたたんだりする分の長さが省けるので)
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↑帯芯、オカダヤならはかり売りで買えます。しっかりした帯地なので芯は柔らかいタイプにしてみた。
今回使ったのは3mちょっとでした。

※グレーの並み縫いは間違いなので気にしないでね
胴の生地の余りは切らずに縫い込んでおきました。
この分を伸ばせば、将来ウエストが太って100センチになっても大丈夫。
古い帯(特に戦前の)って、中で芯が湿気を吸って縮むので、全体が波打ったようにでこぼこしがちです。
仕立てなおして平らになって、それだけでもぱりっとした印象になりました。
それにしても、試験勉強で忙しいとはいえ、もうちょっとマメになりたいものです。
このブログもいつまで工事中なんですかね。サグラダファミリアかなんかですかね。